蜜蝋とキャンデリラワックス
天然オイル100%での仕上げ、今まではよくクルミオイルを使用していました。
塗っているとよく分かるのですが、さらっとしていて塗りやすく、仕上がりもべたっとせずさらさらな感じです。
が、、やっぱりナッツアレルギーのことが心配になってしまって。
実際には、ナッツアレルギーではピーナッツに反応する人が多いようで、ピーナッツアレルギーの人はクルミオイルには反応しないこともあります(ただし、念のためナッツ類をすべて避けることが推奨されています)。
また、クルミを食べて下痢や発疹などが出てしまう人でも、クルミオイルに触れたり呼気から吸入して反応が出るとは限らないようで、家具に塗って乾燥したクルミオイルにどのくらいの人がアレルギーを起こすのかは、正直よく分かりません。
ただ乳幼児の場合は、おもちゃはもちろんテーブルなども舐めたりかじったりすることがよくあるので、こちらについてはクルミオイルから「荏油」にすべて変更したいと思います。
もうひとつ、ダイニングテーブルなどの仕上げのワックスは蜜蝋を使っていたのですが、こちらも1歳未満の赤ちゃんにはハチミツがNGというのがひっかかっていて、子供向けのものには蜜蝋ワックスを使用していませんでした。
ハチミツにはボツリヌス菌が含まれていることがあって、特に1歳未満の乳児には食べさせないことになっています。
胃腸が未発達のため、中毒を起こす可能性があるからです。
で、蜜蝋はハチミツを絞った後の巣の副産物なので、ボツリヌス菌がゼロじゃないんじゃないか?と考えていたわけです。
含有率はとても少ないだろうとは思うんですけどね。
ネット上では、蜜蝋ワックスについて「子供用のおもちゃに最適」と書いてるお店もあったりして、判断に迷うところではあるんですが。
ボツリヌス菌を不活化させるには、80℃で20分あるいは100℃で1~2分の加熱でOKらしいのですが、家庭での加熱ではほぼ不可能という意見も見られました。
(市販の「みつろうクレヨン」などは、製作工程でかなりの高温処理をするので大丈夫だとのことです。)
工房ではワックスを作る時に、オイルと混ぜて湯煎していますが、100℃にするのはかなり厳しいし、80℃で20分というのも何だかあいまいで嫌だなあ・・・と思って。
今回、他の蝋成分を含むものに変更できないかと調べて、「キャンデリラワックス」を採用してみました。
木蝋やカルナバ蝋(貝殻虫)、サトウキビロウなど色んなロウがありますが、キャンデリラは植物性の天然蝋で、手作りで口紅などを作る時に使われるというのが安心材料となって。
蜜蝋と同じ比率でワックスを作ってみたところ・・・
仕上がり、蜜蝋よりもかっちりした感じになります。
融点がほんのちょっと高いせいかな?塗り上がって1日経った板を触った時も、蜜蝋より少しだけ固いと感じました。
後から調べたら、手作り口紅を作る時にも蜜蝋だけだと型崩れするのが、キャンデリラをほんのちょっと入れると崩れにくくなるのだとか。
木工用としてはどうなんだ?と心配もありましたが、市販のワックスでキャンデリラが入っているものもあったので、ちょっと安心しました。
実際に工房の棚を塗って経過を見ていましたが、とてもいい感じです。
というわけで、今のところ天然オイルの仕上げに関しては、
・お子様向けのもの:荏油と荏油+キャンデリラワックス仕上げ
・それ以外の家具:クルミオイルとクルミオイル+キャンデリラワックス(または蜜蝋)仕上げ
と考えています。
お客様のご要望によってもちろん変更は可能です。
他に着色オイルやウレタンオイルなどでの仕上げもありますので、ご注文の際にぜひご相談下さい。
by q-factory | 2011-07-05 11:35 | 材料のこと